西山のヤマナラシ ’20.3.1 曇のち晴

 昨夜も夏山の夢をみた。日本百名山の深田久弥は、こうも綴っている。「南アルプスの巨峰群が重畳している中に、この端正な三角錐はその仲間から少し離れて、はなはだ個性的な姿で立っている。まさしく毅然という形容に値する威と品をそなえた山容である。」と最初に読んだときの見事な筆の運びに惚れ込んだ遠い昔が懐かしい・・。

 それは南アの玄関口にあたる北沢峠から甲斐駒ケ岳への案内だった。長い南アルプス林道から着いた長衛荘に荷を解き、まずその峠にあるドロノキの大木の前に立ってもらった。甲斐駒へ初めて登られる20数名の参加者の皆さんへ、30m近い巨樹を眺めていただき、明日の百名山も同じように圧倒される南アの名峰であることを感じていただく前座である。

 わたしは、甲斐駒と仙丈ヶ岳の案内時には、この北沢峠の地で甲斐駒登頂を前に、ドロノキの大樹に接し参加者のはやる気持ちを静めてもらうために、いつもこの行為を忘れなかったことがわたしの思い出であり、やっぱり夢にまでみることになった。


 実は話しはコロッと変わるのだが、わたしにとってはヤマナラシといえばドロノキだからまずもって冒頭でふれてみたのだ。今回観察の『ヤマナラシ』はヤナギ科ヤマナラシ属だが、そのドロノキもその仲間であり、ヤマナラシの一回りも二回りも大型の樹木で、樹高30mに近く、幹周り3.7mの巨樹なのだ。
 もっとも低山ではドロノキにはほとんど出会えず、その代わりにヤマナラシが見られるのだが、やはりこちらも大きいものは25mにも高くなって、びっしりつけた葉のかさなりで、風を受ければザワザワと音を立てることから、山鳴らしの名がついたとの謂れなのだ。

 とりわけ、イチョウのような葉に長い葉柄があることや、トランプのダイヤのような菱形の樹皮が特徴の樹木である。ハイカーの皆さんも、日のよくあたる地にはひこばえのようにびっしりと群落となり、成長が極めて速いから目立ちやすいため、特にダイヤの樹皮の特徴をインプットした上で是非見つけ出していただきたい樹木だ。
 わたしも、近年では比良のイン谷へ向かう道中で、関電の電線下に大繁茂したヤマナラシを見つけたのだが、成長早く何年かで直ぐに見事に伐採されてしまった苦い観察地だが、その後に通る度にヤマナラシを思いだしているのだ・・。

 今年こそ、ヤマナラシの花と葉や秋の黄葉も見事なことから、時季毎のこの木の追っかけを楽しみたいものである。一年間ヤマナラシのレポ、乞うご期待!。笑

     
成年樹のヤマナラシの冬姿     トランプのダイヤの樹皮は一目で忘れられない
     
 冬芽やや膨らむみ開花は今月末か・・?    笹原に林立のヤマナラシの森も素晴らしい

 続いて、ナワシログミはありふれたグミ科の種なのだが、ツルグミはやや個体数はまれではなかろうか。そのツルグミを西山でも二か所目だったが、今回も出会えた。↓画像は見ずらいが、この寒い時季ならば、あたりは常緑樹の緑一色なのだが、その葉が今日は黄色じみて目につくので分かりやすい。

 昔はグミの実も子供のおやつ替わりだったのだが、今では口にする人はまずないだろう。しかし、考えると山歩きの中でグミを食べた種はナワシログミが圧倒的に多く、それからアキグミも口に入れた。岡山県と兵庫県の間の山ではナツアサドリという聞きなれないグミの種名標示を見て何度か時期を変えて通ったのも、グミがとりもつ思い出のハイクだった。それに六甲山案内時にも、アリマグミの名を知って何度か有馬温泉から探しに通ったのだが、結局見つけることはならなかった。

 肝心のツルグミを知ったのは、和歌山の山や琵琶湖の津田山などで見ていたのだが、図鑑にもあるように生育地は海岸や沿海地、丘陵などの林内や林縁、崖のふちなどとあるが、このうち西山では丘陵の林縁であった。

     
 ツルグミの下部分   左と同じ個体の上部分 

 ツルグミに今回出逢った箇所には鹿除け柵が設置され、そのためにそばまで寄れず、手に取ることとはならなかったのが惜しまれた。やむなくズームで無理やり写してみたが如何だろうか・・。グミの葉には鱗状毛や星状毛があるようだが、やや専門的な観察となろう。
 ちなみにツルグミの葉面には初め銀色の鱗状毛があるが、のちに落ちて無毛になり、裏面はふつう褐色の鱗状毛が密生するが、ときに銀色の鱗状毛がまじるものがあると解説されている。

     
1葉裏に褐色の鱗状毛がチラッと    2この葉は黄色が目だっていた
     
 3葉面の白っぽいのが銀色の鱗状毛   4も黄色く変色しそう、葉先が尖るとあるが・・ 

 この時季だから花は寂しい。・・が今しばらくの辛抱だろうと忍の一字で気軽にハイクしよう・・。笑い

         
イヌガシが咲き初めとなり~    時忘れのモチツツジがまだ咲いて~     こちらでもコクランの群生が~

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ヤマナラシの冬芽 ’20..3.18 晴のち曇


     
18日間で冬芽の下部の花芽が少しほころんでた     ヤマナラシの樹形冬姿

 

 2020年のヤマナラシ観察日  3/1ヤマナラシ樹肌冬芽  3/18ヤマナラシ冬芽  3/24ヤマナラシ開花  3/30ヤマナラシ雌花
 〃 4/8ヤマナラシ雌花種子 4/15ヤマナラシ雄株 4/21ヤマナラシ新葉

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