巨樹のイチイガシ ’20.3.7 晴のち曇

 今日は西山山麓に古くから残る巨樹のイチイガシを見物に出かけた。標高こそ250mあたりだったが、コース取りが10年ぶりの道だったために、上に登るほど廃道化が進んでいたために思わぬ汗をかくことになった。しかし、小さな祠の立つ前に辿り着いてイチイガシのスケールのデカさに腰を抜かさんばかりだった。

 帰宅後にネット上で調べると、樹種は大きいものは30mは充分成長するようだが、こちらの樹高は高さ21mらしいからそうでもない。しかし、幹回り6.28mとこれがびっくりだ。金閣寺にもある大木イチイガシの情報から判断すれば、あくまで推測だがおそらく樹齢300年くらいではなかろうか・・?。
 ↓画像の一番太いのがもちろんイチイガシで、その下の方の空洞のように見える穴から、細いやや白っぽい枝が何本か伸びているが、これはヤブツバキで只今開花中であった。また右にまっすぐ伸びているのはエノキであったが、これのみ落葉樹で真下にその落ち葉が散乱していた。

 大木にはえてして絡みつくように他の樹種が見られることがある。このような状態は古木ではありうることだろう。ということで、すなわち、この木は三色の木となっているようだ。しかし、上には上がいるようで、府内北部の山にはカツラの木に6種の木がまとわりつく「七色の木」という名がついている樹木もあるのだが・・。そうだ、その山にも永らくご無沙汰である。近年新しく登山道も開削されたようだし、久しぶりにその七色の木にも出会いたいものだが・・。笑

 
イチイガシ(ブナ科コナラ属) 横側より近くから撮る

 ネット上にも次のような説明が見られた。『丹波から丹後に通じる古道「椎の木谷」の入口で、道標がわりになっています。地域の人たちは「山の神」と呼び、年に一度木の下で餅を焼き、無病息災を祈ります。』 この大木はもちろん、京都市西京区の「区民の誇りの木」に指定されているのだ。

     
 正面からエノキが前、イチイガシが後ろと重なり    横より離れて撮る。エノキ真下に丸いコブあり

 イチイガシはカシの仲間だが、コナラ属の常緑高木では、ほとんどが20mくらいの高さくらいになり、西山で見られるのは5種のアラカシ・アカガシ・シラカシ・ウラジロガシ・ツクバネガシのようだ。しかし、今回見たイチイガシだけが30mにまで高木となるらしい。なお、イチイガシの名の謂れは昔、笏の材料にしたことから、位階の「正一位」「従一位」にちなんだ名というのが通説のようだ。

 また、単にイチイという樹木もあるが、これはイチイガシとは別種である。ブナ科ではなくイチイ科の常緑高木で、高くなれば20mほどになるようだ。もっとも、このイチイも名の謂れは、イチイガシと同じ謂れが通説となっているようで、紛らわしい・・。笑い

 さて、イチイガシの見極め方の本論だが、花は雌雄同株で4~5月に開花するらしい。しかし、花時の様子は他の中間とそんなに違いはなさそうで、同定は容易ではないだろう。その点では、葉を見て触ればすぐに分かるというものだ。
 葉の裏に主脈が突出し、するどい鋸歯は上半部につくのも特徴のようだ。特徴はまだある。葉の裏面や葉柄には黄褐色の毛が密生し、これらは大きな同定ポイントとなろう。ただ、冬芽は茶褐色の芽鱗に包まれ、先は尖るのだが、この点は仲間とはそう違いは少なそうだ。最後に、秋の果実の区分点の様子まで知っておきたいと思わなくても、葉が年中見られる種であるために省こう・・。笑い

     
 葉裏や葉柄は毛が多い    冬芽の様子

 続いて、近くで見られた大株らしきムベについても観察できた。このアケビ科は右巻きのつる性である。そして、アケビ属は落葉樹で、ムベ属は常緑樹だ。花はアケビ属、ムベ属とともに単性花がつき、雌雄同種である。要するに、植物のほとんど多数をしめる両性花と異なり、単性花ということは、アケビ科のいずれもが、姿が異なる雄花と雌花が咲くことである。そして、アケビ属の実は裂開するが、ムベの果実は裂開しないのが大きな相違点だとほとんどの図鑑に表記がある。しかし、ムベの果実も中には果期を過ぎると小さく割れることもあるようだから、その点は晩秋には確認してみたいものだ。

         
つるがいっぱいぶら下がっていた    ムベ(アケビ科ムベ属)     つるは右巻きで、新葉の展開はこれから

 葉は3~7個のようだ。中には偶数の葉も見られたが撮り忘れてしまった。↓画像は7・5・3個と七五三のようで、なんだか目出度い数の葉に思えたのだが・・。笑

         
 葉が7個   5個、ムベの葉はこの数が普通のようだが・・    3個はやや少なめ 

 こちらでもツルグミらしきグミが見られた。若い木には花はつかないとあるが、この個体はそれなりに成長しているようだから10~11月には開花を確認してみたい。

         
葉表の銀色の鱗状毛は今は落ちて無毛    ツルグミ(グミ科グミ属)    ふつう裏面は赤褐色だが、これは銀色の鱗状毛 

 3月なのに、この木はまだ枯れ葉をつけて落としていない。葉は全縁で長く枯れ葉を残す・・ということ、その点から、クスノキ科のヤマコウバシでした。ピンポ~ン 笑

 
 ヤマコウバシ(クスノキ科クロモジ属)

 最後は草本類も・・。暖かな小春日和で田園歩きも苦にならない。タガラシと長核果のタネツケバナで賑やかな花園広がりとなって心安らぎ~

     
満開のタガラシ(キンポウゲ科キンポウゲ属)    タネツケバナ一緒に満開(アブラナ科タネツケバナ属) 

3/1ヤマナラシ ホームヘ 3/9 満開のアマナ広がり



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