西山 帰化植物等のいろいろ ’20.4.11 晴のち曇

 人類は新型コロナ発生禍に振り回され、右往左往の昨今なのだが、そんなの関係ないと咲く花たちの姿は生命力にあふれている。前日の野暮用の帰り道で西山の電車を降り、そのまま線路沿いで咲く草花を見ながら歩いていると、「おっ、こんなところにブタナが咲いているぞ!、初めて目にしたな・・」と、立ち止まってしまった。すると、関西圏の山の登山口近くでなら、草原の広がるようなところには、一面真っ黄色な光景を繰り広げて、6~9月ころにタンポポに酷似するブタナが咲いている事が多い。この景色を知っているのだが、当地の市街地でブタナは初めてだった。

 腰をかがめて、手を差しのべてみると、「やっ、この花はブタナには似るものの、どうも違いそうだ・・、さてはて、その花は何だろう・・」となってしまった。家路にそさくさと走るように足が速くなる。早速、帰化植物の図鑑等を調べるも、どうもそれらしき情報は得られない。やむなく、ネット上で『ヒメブタナ』(別名ケナシブタナ)の名前が初耳となって、さらにその情報をいろいろ得た。花期はふつう3~5月(ただし、環境や条件がよければ、ほぼ1年中見られるよう)と一般的にはブタナよりも早く咲くらしい。

 さて、そのヒメブタナなるものは、地中海沿岸原産の帰化植物のようだ。1970年に三重県四日市市で発見されたらしい。「エ~50年も前ではないか」、それにしては個体数が多くはなさそうなのが原因だろうか・・。こちらでは線路沿いの乾いてまるで荒地のような裸地や舗装の割れ目などへ生える傾向にあるようだ。そのような環境の中に結構咲いていた。たしか去年までは見た覚えはなかったのだ。「長岡京市では初めての発見か・・」と、にわかに色めき立った。笑

 いずれにしても、直射日光の日差しをまともに受けながら、厳しい環境に屈せずに咲く姿は生命力にあふれているように感じた。わたしたちも、昨今の新型コロナの影響で生活も意気消沈ではあるものの、道ばたの花に思いを寄せて、苦難を乗り切る力をお裾分けに頂きたいものである。

         
 ヒメブタナ(キク科ブタナ属)地中海沿岸原産   葉裏もほぼ無毛で別名ケナシブタナとも     放射状に葉を出す根生葉、茎に葉はないよう

 今回はまさに帰化植物の観察そのものであろう。コセンダングサは北ア原産で、世界の温暖から熱帯にかけて広く分布する外来種である。ちなみにコセンダングサの変種でコシロノセンダングサ(別名シロノセンダングサ)は特に白い舌状花が目立ち可愛い花だが、この線路沿いには見られない。
 一般的にはセンダングサ、コセンダングサ、コシロノセンダングサが存在するも、とりわけ、センダングサは個体数は少な目で容易には見られず、コセンダングサとコシロノセンダングサが雑草扱いで繁茂しており、特に秋の果実時にその周りを歩けばズボンに強烈にくっつくために厄介で嫌われ者となろう・・。

         
 コセンダングサ(キク科センダングサ属)   葉は変化多く、3~5小葉といろいろあり    花は頭状花のみで舌状花はつかない 

 続いて①カラスノエンドウを見たことのないハイカーはないだろうが、②スズメノエンドウはどうだろう・・?。こちらの線路沿いには前者はわずかで、ほとんどがスズメノエンドウである。ちなみにこの仲間にはもう一つ③カスマグサがあるが今回は探せなかった。

 ちなみに、これらの仲間の相違点はいろいろあり、葉や花等の大きさ順は①、③で②のスズメノエンドウが一番小さいので比較は容易であろう。そして↓画像にもあるように、小葉の先がクルクルと巻きひげとなる独特なのがスズメノエンドウと同定はおもしろい。
 もちろん、果実時には①種子が5~10個、②が2個で大きさが草丈等が中間の③のカスマグサの豆果の中に種子が4個つくので、秋の果実時は種子の数をみればよいことになる。ただ、個体数は圧倒的に①のカラスノエンドウで、極まれなのが③のカスマグサでなかなかその実物には出会うことは少ないだろう・・?。そして、豆果は①が上向きにつき、②と③は下向きにつくので豆の向きの姿でも分かる。なお、こちらの仲間は日本の自然種のようだ。

     
②スズメノエンドウ(マメ科ソラマメ属)    スズメノエンドウの小葉の先は巻きひげになる 
     
スズメノエンドウの豆果に種子がふつう2個入る    ①カラスノエンドウの花は一番大きくきれい 
     
 左の小葉の先のひげは3本が真っすぐ伸びる↑    カラスノエンドウの豆果には種子5~10個入る

 山歩きの中では、サワギクといって沢沿いに黄色く小さな花を咲かすキク科の花があるのだが、その花は果実期には冠毛がボロのように見えるために別名としてボロギクの名があるのだが、今回はその花の果実期に姿が似ることからの名の謂れとなった野に生えるボロギクでノボロギクが沢山咲いていた。↓右画像の白っぽいものがボロの謂れの花跡の様子である。もちろん興味なしの方たちには雑草扱いの代物だろうが・・。このノボロギクはヨーロッパ原産の帰化植物だ。

     
ノボロギク(キク科キオン属)     花の後半から白色冠毛で風に乗って繁殖

 駅舎そばの作業広場には、マメ科の小さな花が毎年咲くのを横目に、過去には通勤に急いだものだった。今回は虫メガネ持参でここでかがんで雑草を覗き込んでいた。そばを通る人達にはこちらの姿が変人だな・・と、目に写っていることだろうなどと思えば、こんな行為はできないだろう・・。
 こちら植物好きな我が心には、そんな心配は無用だと決めつけて、さらには新型コロナなども忘れて、かと言ってもいつもより人の姿が少ないようだし、無心に遊べるのは今しかないだろうとの行動だった・・。笑

 ウマゴヤシやコメツブツメクサももちろん帰化植物であり、ヨーロッパ原産や西アジア原産のようだ。とりわけ、コメツブツメクサは極小で花は簡単には写りそうにないのが悲しい・・。涙 こんな人通りの中でじっくりとはやってられない・・。

         
 ウマゴヤシ(マメ科ウマゴヤシ属)    托葉はクシの歯のように深く切れ込む   こちらはさらに小さくコメツブツメクサの群生 

 こちらはもう花もほとんど終わっていたようだ。それはハハコグサであった。よく見れば結構咲いていたようだがほとんどが↓中画像のように冠毛が飛び立っている様子だった。↓右のチチコグサモドキも花期が過ぎて冠毛が風任せのようだった。もちろんチチコグサモドキは熱帯アメリカ原産だ。

         
ハハコグサ(キク科ハハコクサ属)    左の 花跡の冠毛が風に乗り~   こちらはチチコグサモドキの花跡だ~ 

 その他にも数えきれない外来種や自然種等が見られた。これまでから横目で通り過ぎるだけであったが、今回は思わぬコロナ禍によって、帰化植物観察が出来たことを喜ぶべきだろうと前向きに心したい。幸か不幸か今後のこの道を歩くことが楽しくなったのが嬉しい・・。

       
*キツネアザミ *キュウリグサ   *カタバミ  *ノミノツヅリ
       
* ノゲシ(別名ハルノゲシ)  *オニタビラコ  *ギシギシ 同左の葉部分 
      そうはいってもさすがに街中で大の大人
が座り込むような姿で雑草を覘き込んで
いたのには気が引け、近所の知り合い
にでも見られたらどうするのかとカミさん
にお小言をもらってしまった。トホホ、シクシク 
ナガミヒナゲシ(ヨーロッパ原産)   アメリカフウロ(北アメリカ原産)  マツバウンラン(北アメリカ原産)  

 なお、上記花名前に*がつくものは帰化植物ではなく日本の自然種である。(お断り)キツネアザミは線路近くの田畑の畔に咲いてたもので、ナガミヒナゲシ、マツバウンランの画像は以前に西山の別地で撮ったものを転用

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