比良 東稜からの武奈ヶ岳 ’18.2.9 晴
比良駅-大山口-ダケ道-イブルキノコバ-広谷-東稜-武奈ヶ岳-北稜- |
ツルベ岳-ナガオ-広谷-北比良峠-ダケ道-イン谷口-比良駅 |
どうやらこの後の三連休の予報は芳しくはなさそうだ。ただその前日の金曜日は青空の高気圧らしい。ならば行くのは9日しかない。そして武奈へ登るのであるなら東稜からナガオで、広谷起点の周回ルートをやってこよう。それには早出だろう。そして、比良駅(6:35)を夜が白みかけた頃に歩き始めたのだが、登山組の姿は他にはいない。
まずは大山口からイブルキノコバより広谷1のレスキューポイント地までの様子である。イン谷口奥のトイレ前の駐車地には凍てついた車道となっておりもちろん駐車は0である。でも、そんな中に今朝がた1台だけが様子見だろうか、駐車地まで入って引き返していたタイヤ跡があった。それにしても車の姿はない。そうか今日は平日でもあったのだ。笑
ところで今年は連日相当の冷え込みが続いているのだが、積雪は寒さに比べて少なすぎではないのか。このところの福井県方面には何年振りの大雪とのことだが、こちら比良山塊までも雪雲がやって来てはくれないらしい。足元を見るとここ二~三日ほど降っていないようで、踏み跡は続いているが今日の足跡とは見えない。珍しく今日は我が足が一番のようだ。ところがその後のカモシカ台あたりまで上がれば、下からずっとあった白粉のような粉雪が消えて、「アッ、このトレースは今朝がたのものだ。そうか、下で見た車の跡は相当早くにトイレ前まで送ってもらって帰らせたタイヤ跡だったのだナ。」と思った。
こちらはまさに蝸牛の歩み、腕を覗けば駅より2時間半は雄に越しており9時を過ぎてようやくにして北比良峠へ上がって来ていたのだ。ここまでツボ足だったのだが、こちらのケルンの台に腰かけてシューの装着であった。八雲が原に降りても古いトレースはハッキリ残っていたがもちろん今日の人のものではなく前日のものだろう。ということは昨夜も降っていなかったのだ。
今日の先行者はその後どうやらパノラマコースをツボ足で登っている。ところがこちらの進むイブルキノコバ方面へは踏み跡はは消えていた。しかし、でもすぐにトレースは現れたり消えたりしだした。このような状態でアルバイトが始まったのだ。それに案じていた最初の谷越えはやっぱり段差がきつく一苦労の谷越えとなってしまった。その先のイブルキノコバから武奈には冬季の平日にはほとんどノントレであるのだが、やっぱり足跡はない。今日のこちらにはそんなの関係ない。こちらはそうじゃなくて広谷へ下るのだ。もちろんノントレは承知であった。
広谷小屋の右側からの渡渉は雪が重なる箇所のために容易ではないと見向きもしないで、裏側のスノーブリッジを渡ろうと向かったのだ。ところがそのブリッジが中途半端な出来ばえで沢にでもドボンもイヤだし・・と緊張しながらどうにか乗り越えた。そしてなんとか左岸に渡ったのだが、今度は雪が少なすぎてRPの看板地までは勾配きつしで右岸側斜面沿いを乗っ越せない。仕方なく方角を変えた目の前の小さな支沢を乗り越えたのだが、そうすれば最後は広谷の中でも使用可能な一番しっかりしている橋とはいえ、雪の乗ったその橋を渡らなければならい。(↓右端画像)
ところが、思いの外これがやっかいであった。橋の上にだらしなく締まり気のない姿で、それでも結構雪が乗っており、これが万一崩れたりして滑落すれば地獄への片道切符であろう。谷の下には相当強い流れや岩があり、橋から水面まで結構な高さがありそうだ。実のところ本日一番の緊張場面であったのだが、それでもどうにか右岸側へと成功したのだ。やったネ~パチパチ・・笑
しかし、このような万が一奈落のツボへ落ちてしまった場合にはどういわれるのか・・との諺のひとつに『裸でバラの木を背負う』という諺好きな父親に子供の頃に教わったのを、危険な場所での橋渡りが終わった瞬間に思いだしたのだ。
オヤジに聞いたその諺も60年は遠の昔の言葉であった。ちなみにその意味合いを砕いていえば「裸で棘だらけのバラのカズラを背負うということで、実に無茶をすることの喩え。また、大変難儀なことをすること。」であろうか・・それにしてもオヤジにはその点では感謝だが、それらの教えを忠実に守らないばかりの人生であったのが現在の我が身なのだが・・。涙、トホホ
大山口も雪少なし | 北比良峠で武奈の頭が | 八雲が原、見える足跡は昨日のもの | ||
イブルキノコバから武奈へはノントレだ | 広谷小屋裏側からその後やや緊張 | 広谷-1RP地前の雪の橋を渡る・・ |
さて、雪上橋をどうにか渡ったのだから、この後の東稜は例え急登であったとしてもなんとしても登らなければならない。だが、このとりつきが極めつきの急登であったのだ。考えれば広谷取りつきから武奈の山頂までは300m弱と標高差的にはそんなにないのだが、この先の1070mまでが特に急斜度が続くのである。でもやっぱり直登が一番早いだろうとフゥフゥいいながら登ったのだ。
そして1040あたりで青空が見えてくれば生き返ったとの思いであった。もちろんこの後には東稜の素晴らしきかなパノラマが繰り広げられているのが分かっているために大きな苦労も厭わないとはこのことだろう。こうしてどうにか1070あたりからの大パノラマを独り占めにして大満足の東稜となってくれた。この感動はなんどやっても懲りないと言っても過言ではないだろう。
1060あたりから見上げる | 1070あたりから | |
1050コルあたりから | 1100あたりのブナ林 |
そして1070先下のコルからの上りはやや緩やかな上りとなってくれるのだが、ブナ林に癒されながらゆったりと登り上げて、雑木の小樹や枝など一切が雪の中に眠りだして雪原が繰り広げられると、もう山頂は目の前となってくる。といいつつ、めったに見られないノントレーのパウダー雪景色を目に焼きつけながら、そろりそろりとジグを切りながら北の稜線に上がることとなった。着いたそちらへザックをデポしてすぐに山頂(11:54)であった。見渡せば他には5人しか姿はなかった。
それにお目当ての眺望は青空はあっても、北の方には雲が以外に広がっておりせいぜい白い伊吹山がなんとか見えるくらいで白山など、からきしダメである。それでも高島トレイル方面の三重嶽等の一角はどうにか見えてはいたのだが・・、もちろんアルプス方面はまったくであった。
もっともこちらの下山は北稜からツルベ岳よりナガオの稜線歩きのためにまだまだ先がある。昼食はいつもの静かなCa1040のツルベ岳手前ニセピークでやるために、武奈山頂でのこのような惨めな眺望ではゆっくり腰をおろさないでおこう。
山頂下10分ほど手前から | 武奈ケ岳山頂 1214.4m日本200名山 | |
踏んできた東稜が中心に広がってる | 北稜取りつきとナガオも白いが |
そのために武奈ケ岳山頂あたりでも雪庇もほとんどなさそうな所あたりから↑の3枚撮っただけで、すぐにツルベ岳方向への北稜を下ることとしよう。それがびっくり、雪庇はほとんどが赤ちゃん並みの姿なりで面白味は全く無いに等しい。トントンと下って上がってニセピークで遅めの昼食(12:30~13:00)であった。
2月上旬でも雪庇は淋しい 涙 | でも1040で貸し切りの昼は上手い | |
着いてすぐに武奈ケ岳を振り返る | この後歩くナガオの稜線眺め昼食だ |
いつものように食後15分でツルベ岳だが、この山頂も素通りでナガオへ向かおう。
ツルベ岳 1098m、ここも雪少なし | 1050mあたりから二番目が東稜1070 | |
ナガオ三番目の頭から釈迦岳見る | 次コッフェル地手前から双耳峰の蛇谷ケ峰 |
ほとんど下りばかりのナガオ尾根の最後では標高点991手前にあるCa990のすぐ手前の谷を右へ5分ほど降って、広谷のサワグルミの木に降り立った。ナガオはツルベ岳から50分で広谷へ降りてきたことになる。広谷RP地の橋すぐ下流を渡渉してからすぐ上にあるトレースは午前中の我がトレースのみだ。結局イブルキノコバ以降は私以外は入っていなかったようで、これぞ往復貸し切り道であった。
広谷への降りの谷は歩きやすい | 広谷RP地渡渉は雪少なく簡単 |
もちろん、イブルキノコバ(14:20)からも武奈には誰も上がっていない。この後も八雲が原までは貸し切りだろうと我が道を進めば、谷の二つ目あたりまでツボ足人が様子を見に来たのだろう。その足は途中で引き返していた。この後は踏み跡だらけの八雲が原(14:40~45)に着いてスノーシューを外し、ツボ足で北比良峠(15:05~15)まで上って、今日初めてアイゼンをつけた。これまではダケ道の下り時もほとんどツボ足で降りていたのだが、今回は北比良峠の最初からアイゼンをつけたので快調に下山でき大山口(16:05~25)へはそう時間かからずに降りられた。
途中カモシカ台下あたりで、今日のダケ道では初の下山者に追いついた。その方は以前に福井県の藤倉山へ花巡りへ行った時に犬連れのかおりさんということで出会った方だった。その方とは今日は追い越して「大山口で後片付して待ってます。帰りは電車でご一緒しましょう・・」と先行する。
大山口に下山しゆっくりと後片付をしているとそのかおりさんが降りて来られ、「しばらくです、久しぶりですね、そういえば去年もこの下のトイレ地で下山時に出会いましたね。」とかいろいろ山話しに花が咲きそうだった。そして、かおりさんも「この後片づけして追います。」とのことで、またここでも「先行しJR比良駅で着替えして待ってます。」とのことで比良駅(17:20~36)へ着けばやがてかおりさんも到着されて、すぐに来た電車をご一緒しながら帰京となったのである。「久しぶりの出会いで楽しく山話を聞かせていただきありがとうございました。また、お会いしましょう。」
イブルキノコバあたりは私だけの道 | 下山した大山口の沢 |