比叡山に咲く花 ’17.5.12 曇
今年の積雪は久しぶりに多かったためだろうか、ここにきて植物の開花状態が昨年に比べて著しく遅くなっているようだ。本日の比叡山ではヒメシャガが開花しいるだろうと出かけてみたが、まったくの花の姿は見ることができなかったのだ。先月中旬にもその群生地を確認にやってきていたのだが、葉の芽出しが進んでおり、これなら5月には花が見られるだろうと期待しての再訪だったのである。
はたしてこれは鹿の食害なのだろうか。葉すらまったく姿もなくなっていたのであった。山野草は他にもギボウシ、オオバギボウシの葉も食いちぎった残害が目立っており無残な状態であったのだ。その他の咲いていた種は、クリンソウの咲き初めと、ミヤマハコベ、ノミノフスマにタネツケバナやムロウテンナンショウくらいが咲いていたほどで極めて寂しい状態での花巡りとなったのであった。
結果として、本日は樹木観察となってしまった感である。
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本日はもちろん、樹木類も咲く種は少なく、ほとんどが蕾状態であり、そのような中で開花していたのはツツジ科では、コバノミツバツツジはとっくに終わっていたが、モチツツジ、ヤマツツジの咲き初めが始まり、ウスギヨウラクがやや終盤で咲いていたくらいであった。
お目当てのバイカツツジは開花時期が6~7月というために蕾すら姿なく、ずっと先となろうが、今年も花の再会を期待しながら葉もしっかり同定可能とした。他にミツバウツギにツクバネウツギの咲き初めがあり、ハナイカダ、ミツバアケビが咲き残り、また、コアジサイ、コゴメウツギにヤブデマリたちは蕾であった。もちろん、バラ科サクラ属ではヤマザクラ、ウワミズザクラは終わっていた。このように開花は極めて数少なく、山の中の木本類の本格的な開花シーズンはまだまだ先になりそうだ。
ウスギヨウラク(ツツジ科ヨウラクツツジ属) | バイカツツジ(ツツジ科同属)の葉 | ミツバウツギ(ミツバウツギ科同属) | ハナイカダ(ミズキ科ハナイカダ属) |
最後に山野草はほとんど咲いていない状態でがっかりであった。せいぜいムラサキサギゴケが足の踏み場もないほどの大満開があったのだが、わたしにとってはなぜかそんなに感動ものではない花であるのだ。それとクリンソウの咲き初めが沢筋にチラホラと始まっているようだった。
また、どちらの山でも見られるオオバノトンボソウだが、ここでも結構新しい葉の展開が何枚も始まっていたことは、喜ばしい花の開花の期待となった。それにササユリの葉っぱも目にしたのだが、共にこちらでも鹿の食害がやっぱりまず気になるのであった。
①ムラサキサギゴケ(サギゴケ科同属) | ②クリンソウ(サクラソウ科同属) | ③オオバノトンボソウの芽だし(ラン科) |
*①と近縁種のトキワハゼの区分点で一般的に分かりやすいのは、走出枝(ランナー)があるのが本種で、ないのがトキワハゼである。花の色あいでの同定は初級者にはほとんど容易ではなさそう。
③の開花時期は図鑑によれば6~7月とある。もちろん、その標高によって大きく異なり、7月も中旬となることもある。このような葉っぱの状態から期間が長くなって、どうしても鹿の食害や、時には心無い盗掘の危機に遭う場合が多そうである。