志賀 南尾根からの堂満岳 ’18.2.19 曇のち晴

 志賀駅-中谷出合下-荒川峠道-荒川峠-南比良峠-南尾根-堂満岳-縦走路出合-金糞峠-正面谷-桜のコバ-比良駅
 

 3年ぶりの堂満岳である。それにしても雪の多い日を見逃してしまい、春山のごとき暖かい日の堂満岳(1057m)であった。今回も人のあまり登らない南尾根からの静かな堂満への登山を存分に楽しむことができた。比良の堂満や武奈の表側からの登山といえばイン谷口からが王道であるのだが、こちらは荒川峠道から取りついた。

 駅(8:40)から登山口まで雪の皆無の林道は有難い。でも、山道を10分ほど登ればもう雪が出だし大岩谷分岐あたりからはしっかりと雪がある。もちろんトレースはほとんど消えているも、細い道は踏み固められているのだろう。それらしき跡を踏めばツボ足でもそう沈まない。分岐から10分で大岩からの湧水地だった。もちろんここで一本で湧き出る水をコッヘルで喉へ通す。上手い!・・。やおらスノーシュー装着で長い植林地内の我慢の歩きが始まる。  

         
雪0の中谷出合下登山口     ノントレの大岩谷分岐   大岩下からの湧水地はお休み処 

 1時間ほど登れば長かった植林帯と別れ、自然林の景色がうれしい。イヌシデ、ブナ、ミズナラやヤマザクラ、イタヤカエデなどの落葉樹は山笑う頃の見どころ満載の樹木ではなかろうか。しかし、本来でならば樹木より無雪期には山野草の花々を楽しめるコースであるのなら、さらにこの荒川峠道も人気コースとなろうがそれは致し方なさそうな登山ルートなのだ。でも、こちらはせめて樹木の仲間たちで楽しみながら登っていくこととしている。

         
イヌシデの大木は4本確認     ブナはそれなりに古木あり    10本兄弟のミズナラは目印

 10本兄弟のミズナラからすぐで荒川峠下の道標地(11:12~20)である。今回は雪はそう多くはない。道標の後ろには琵琶湖バレーがあるも、情報ではスキー場80cmとこれまた少なそうだ。行動食を取って次第に深くなりそうな雪を踏み、荒川峠への巻道は滑落危険なためにパスして、左へ上がって縦走路を捉えるとすぐにその荒川峠(11:33)である。

     
荒川峠下の道標地雪少なし    駅から3時間もかかった荒川峠 

 縦走路の稜線はさすがに雪深いが短いので苦労はしない。最初の高みからはデ~ンと堂満岳南尾根↓である。あの急登を登るのだ・・・とテンションUPである。この稜線から夏道の縦走時には西側を巻いて南比良峠に降りるのだが、積雪期の南比良峠へは反対の東側を琵琶湖に向かって下り、なだらかに北側へ巻いて峠へ向かうのである。
 峠へ降りるまでのこの稜線歩きがこれまた楽しい。ちょこっと歩いてはデジ、琵琶湖を眺めてまた歩いて前や後ろへデジの繰り返しで心行くまで楽しもう。こんな歩きができるのが単独行をやめられない訳だろうか・・。

 
縦走路の稜線からの堂満南尾根が神々しい 、左にコヤマノ岳とショクシコバノ頭

 さて、目の前の堂満南尾根を↑画像でさらに詳しく説明しておこう。道はもちろん、トレースもまったくないのだが、勝手なルート取りで登ろう。雪がなければ南尾根取りつきは峠道標地から僅か北側に二つの地蔵さんが座っているあたりから取りつく。しかし今は地蔵さんはまったく雪の下である。
 それでは具体的な斜度具合だが、南尾根の下段は下部の大きな正三角形に見える白っぽい部分で比較的緩やかであり、一番長いがこの部分が一番楽しい部分だろう。そして急に細くなる白い部分が中段部分で、ここが激急登で苦しい。取り替えを横着してシューのままで登った場合は充分なる注意が必要だろう。そしてさらに上に白い中にやや黒い部分が見えるのが大岩2箇所が写っているあたりは上段部分で緩やかであり、堂満岳は目と鼻の先であることから安心できる部分だ。。

         
右後ろには釈迦岳     琵琶湖はどこまでも大きい   稜線から最後の堂満である 

 そして前後するが、ようやくにしてその先下の南比良峠であった。今回は背のそう高くない峠の道標すら顔を見せてくれた。多雪時であればすぐ左下の大橋出合への道標ともどもどこにあるのだ・・、ということは珍らしくはないのだが、さすがに今年は寒いばかりで降雪は多くない。そうはいっても南比良峠は平らな雪原のようで心和む場所なのでこのあたりでひと息入れよう。

         
積雪期に久しぶりに見られた道標     雪庇は深そう・・   中段あたりから振り返る烏谷山 

 下段過ぎれば激急登が続き、シューからアイゼンに変えた方が安全だが・・と思うも、アイゼンへ変更するのであればすぐ下の中段最後あたりのややフラット場しかない。上段に進んでしまったのであればそのまま登るより致し方ない。でも中段あたりは極短いために頑張れるだろう。と思って上を見上げれば四角い岩が目に入って来た。ヨシ!、あの岩まで上がればもう大丈夫だろうと最後の踏ん張りであった。三つある岩だが、中、大岩に一番上は小さい岩で雪が半分以上被っていたが、すぐに稜線に下の南比良峠道標あたりから今回は35分ほどで稜線へ登り上げた。
 ところが稜線はすごいトレースで大勢の登山者が踏んでいた跡は見るも無残であった。恐らく高年者の団体ではなかろうか、ゲ~・・

         
最初の岩が見えれば上段は緩い    二番目が一番の大岩石ドッカンと座り    最後の岩からすぐで稜線に乗る 

 稜線に乗ればすぐにブナの古木が「よく来たネ!・・」と迎えてくれて山頂到着(12:35~13:00)である。山頂には本日初めて口を聞いてくれる先客がお一人だったが、これがまたすごい御仁だった。ただ「一人っきりでルンゼから上がってきた。」とのことで、でもこちらと同じで口数は少なくすぐにイン谷へ下山された。
 狭い山頂だが、一面がすっかり踏み均されて賑やかな昼時となっていたのだろう。ちょうどこちらは上手い時間に到着したものだ。なんとラッキーだったようだ。しかしながら、四周の展望には泣いてしまった。北から東方面は雲が低く眺望にならない。ゆったりと昼としてたが「こりゃあダメだ。」と早めに腰を上げた。

         
堂満直下のブナの古木とシャクナゲ     堂満岳山頂からコヤマノ岳方面    伊吹山と霊仙山すら肉眼でもぼやけ

 下山は見どころ無しの東稜道はこれまでからウンザリで、計画通りに縦走路へ向けて下り、金糞峠から正面谷としよう。シャクナゲ多い稜線だが、とりわけ帰り道となって今は南方面が見晴らしが良くなったようだ。比良の蓬莱山を中心に南部の山並みがそれなりに楽しませてくれた。

 
手前が烏谷山に擂鉢山が、擂鉢左奥に白滝山達が白くなってる~ 

 堂満の稜線につく雪庇もこれまた、あまり立派とはいえず見ごたえなかった。ことしはどうやらびっくり仰天するような雪庇群には出会うことはなさそうな予感がしているのだが・・?、さてこの後は寒波群到来は如何なものだろうか。

     
 堂満の雪庇もこの程度では・・   堂満岳を振り返り、またネ~~ 

 堂満岳から稜線をそのまま西へ降って縦走路に降り立った。さすがにこれより南比良峠方向へ向かった者はなさそうだ。こちらは金糞峠より正面谷であるが、その先の堂満岳分岐道標地まではトレースは薄かった。

     
堂満岳から縦走路へ降り    縦走路から堂満分岐、金糞峠へ 

 金糞峠が近くなってきたがその道沿いにはタカノツメだろうか、それとも同じ仲間のコシアブラだろうか。その古木が太い幹で天を突くような枝ぶりで突っ立ており、この樹形からコシアブラ(ウコギ科ウコギ属)と判断しよう。また冬芽を観察して見れどもこちらはコシアブラなのかタカノツメなのか即同定とはならないほど酷似しているようだ。この点は別途相違点等の調査が必要のようだ。もちろん、春になれば新葉の展開が始まり5小葉ならコシアブラ、3出複葉であればタカノツメというのが一番容易な同定ポイントなのだが・・。

 金糞峠(13:37~50)では最後の一本で行動食をガッツリ食べ、シューから本日初めてアイゼンを履こう。やっぱり大勢の団体さんだろうか、新幹線並みのトレースが敷かれて青ガレ一帯を含め正面谷は初心者コースの道となっていた。雪がしっかり付いたためにゴロ岩の隙間を十分に埋めてくれ、岩などまったく見えずにホイホイと下ることができ、こんな有難い正面谷は初めてと言っては言い過ぎだろうか・・?。

         
左画像はタカノツメでなくコシアブラの冬芽    金糞峠から比良の慕雪

 金糞峠から下り始めるとすぐに目の前に雄花を多数下げた高木が逆光の中に立っていた。カバノキ科の仲間のケヤマハンノキ(カバノキ科ハンノキ属)だろう。暮れの12月から咲きだす樹木花だが、私は近年この花咲く頃には敬遠する樹木である。それは花粉症の大敵なのだ。4月いっぱいは正面谷は通過拒否コースとしよう。笑

         
ケヤマハンノキは雄花がよく目立ち    かくれ滝は元気に水落とし    大山口は帰ったも同然地だ・・

 いつものようにかくれ滝に立ち寄り、そして雪が減った大山口(14:40)まで降りて来たが、この道標や沢の小橋の景色を見ると帰ったも同然と思えてしまうのだ。やれやれとアイゼンを片づけよう。さすがに駐車場、トイレ地あたりは下山者の姿があったが、そのほとんどが武奈からの下山者だったようだ。こちらの今日は1人しか登山者の姿を見なかったのだが・・、そうそう堂満山頂あたりのあのトレースの状況から判断すれば、相当数の人数が入ってたハズなのだが・・。
 でも、そうは言ってもやはり堂満岳に登る登山者は武奈ケ岳に比べれば極端に少なく人気がなさそうだ。しかし、湖西線の車窓からの堂満のピラミダルな山容には惚れ惚れするのは私だけではないだろうに・・。

 てくてくと比良駅(15:35~53)までは歩き疲れたのだろうか。それにしても久しぶりに電車内で残り物を全部片づけた。フゥ満腹・・笑

その他にも次のとおり「南尾根から堂満岳」に登っています   
’14.2.23  南尾根-堂満岳-東稜道 
’15.2.21  南尾根-堂満岳-東稜道 
’19.2.27 865尾根-荒川峠-南比良峠-南尾根-堂満岳-東稜道 

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