京都北山 雲取山から天狗杉 ’18.7.27 晴

 花脊高原前-寺山峠-雲取峠-雲取山-雲取山北峰-一の谷右岸尾根-一の谷出合-寺山峠-寺山-旧花脊峠-天狗杉-アソガ谷-貴船バス停

 相変わらずの猛暑日だが、9時過ぎに花脊峠を一番のバスで上がると26℃の表示が見られ、どうりで涼しいなぁと感じていた。これなら今日は猛暑日の35度以上にはならないだろうと期待しながら花脊高原前のバス停下車であった。すぐに整備なった林道を進めばもう大汗の噴き出しだった。雲取山といえば日本百名山好きな登山者であれば、すぐに関東の東京都最高峰の雲取山(2017m)だろうが、関西の雲取山(911.1m)は半分以下の低山だから、下界とそんなに温度差はなさそうだ。

 そんな下界と変わらない山頂までどうして行くの・・?、と言われながらの山通いなのだ。、取りつかれたように、ここまでして山歩きに向かうのだろうと我ながらおかしく感じている。そして今回の雲取山や天狗杉も飽きるほど歩いているのに・・。ましてや暑さのこの時期であれば見るべき自然のなりわいなど、特別なものはないのは承知済であった。でも、例年この時期であればヤマビルの心配ばかりなのだが、今年のこの暑さで道もひび割れるほどのガチガチ道が続いているために、ヒルなど全く考える必要はない。
 しかしながら、寺山峠まで上がれば、そこには新しい林道が敷かれていた。今日は先に雲取山へ挨拶した後で、この峠まで引き返して旧花脊峠への道を楽しむ予定だったのだが、この林道出現でハイクもぶち壊しとなるのだろうか・・。

 もちろん、歩いてみて植物観察など対象物もほとんどない。せいぜいノリウツギがパラパラと咲いているくらいか。それに草原広がる雲取峠の斜面にはリョウブが四方八方に咲き誇っているくらいだった。もっとも雲取山へはこれまで公団巡視路からハタカリ峠経由がほとんどであり、寺山峠から直接雲取峠への道取りは忘れてしまったほど前のことで、その点では新鮮味があり楽しみながら歩けた。とりわけ雲取山荘あたりの緑深い一帯の雰囲気は素敵な気持ちにさせてくれるところであった。

     
林道新設で明るくなった寺山峠     一の谷上流の雲取山荘雰囲気よし

 途中、山地内の沢沿いでは、こちらの山域では鹿の忌避植物なのだろうか、葉を青々とつけてマルミノヤマゴボウが若い実を多数つけていたが、わたしのよく歩く山域のマルミノヤマゴボウは鹿に葉も実も食べられて跡形もないのを見ているために新鮮であった。やっぱり山歩きは、ある程度山域を変えることもひとつの方法でもあることが今頃分かる始末だ・・。トホホ

 森歩きから空が見えるなと気がつけば、そこは草原広がる雲取峠だった。札の下がる中心から周りの斜面にはリョウブの花盛りが広がっていた。長らく夏の山歩きはアルプスだったために、この厳しい酷暑の中の低山歩きには身体もほとんど慣れていない。でも、高山歩きにも限界がやってきたのだろうか。観念して酷暑であっても低山のハイクで我慢となろう。

 でも、まだまだ酷暑でもこれくらいの山度であれば充分対応可能であろうと心して歩いている。それは今日のように歩き始めて山頂へ90分ほどで届くのだから体力などそう要らないだろう。もっともそれでも大汗流しての頂だったが、小さな山頂は樹林が取り囲み展望など皆無に等しい。

     
 雲取峠のいつもの標示は頭上にあり    峠より15分で雲取山は展望なし

 そうなれば取って返して好展望地へと踵を返そう。展望地へ着いて見れば、いつの間にやら『雲取山北峰』と標示板が下がっていた。どうりで多くの人の踏み跡がしっかりと出来上がっていた。ところが本日の視界は芳しくはなかった。雪の晴れ間の展望では地蔵杉山の東北東先に皆子山、蓬莱山など比良の山並みが驚くほど素晴らしいのだ。来年の雪時に訪ねたいものである。

     
 雲取山北峰からの好展望地だ   手前中が地蔵杉山 

 この好展望地から南へと続く尾根の先は踏み跡が薄くなるのだが、一の谷右岸尾根から大杉の倒木地あたりで南南東へ降って一の谷出合に戻り寺山峠へ上がった。ここで丁度昼前だから木陰下のベンチでお昼としよう。するとすぐに山仕事の見回りだろうか、軽四ジープが土埃を立てながら通過して行ってしまった。オッと、これはヤバいと土埃から逃げ回った。笑

 しっかり腹に詰めた後は左京区、右京区の標示板があるが、林道でなくこれまでの登山道の右京区側から登り始める。この後も可能な限り林道歩きはよして、従来どうりの山道を拾いながら進むこととしよう。小さなアップダウンばかりで水平道と変わらない。

 以前からの寺山の標示板が相変わらず少しずつ誰かによって移動させられている。今回の↓右画像の場所は従来よりわずかに南へ付け替えられていた。(笑)、できれば標示板はその場所においてやってほしい。この平な場所も癒し系の自然林の中で、幸いにも新しい林道が少し西側に離れて目に入らないようつけられたのもうれしい配置と喜びたい。

     
 花脊山の家の標示6と一の谷出合   岩場のそばが寺山地だ・・ 

 結局、寺山峠から旧花脊峠間の林道だが、思っていたほど登山道が林道に成り代わっているのが多くはなかったように思えた。山仕事道としての林道だろうから、登山者からはひと言たりとも注文は出来かねるのだ。ただ山歩きの我らのことを考えた林道の施設方法であろうと思えるのだった。しかしながら、今後も林道開設によってあたりの大木等が台風、大雨等自然災害による倒木等の被害が心配されることとなろうが、山歩きの中では安全面等でも充分注意して歩かせてもらいたいものである。

  旧花脊峠から天狗杉への間をピストンしてきた。その間には『チマキザサ再生プロジェクト進行中』という看板が立てられて、鹿の食害防止用である防鹿柵のための金網が登山道沿いに長く並んでいた。

 看板によれば、花脊の名産品であるチマキザサが増えすぎた鹿の食害で危機となっている。
チマキザサは100年も前から北山地域で採集され洛中での和菓子作りや京料理、はたまた祇園祭の厄除け粽づくりに利用されてきた。しかし、2004年から07年にかけてササの一斉開花、一斉枯死がおき、全滅に近い状態となった。薪炭林施業の減少や増えすぎた鹿による食害が主な原因で、いまでも充分に再生せず、京都が誇る伝統文化までもが揺らぎ始めてると訴えている。

     
いつも静かな旧花背峠     天狗杉(837.2m)

 旧花背峠へ降りてくると今度はこちらも久しぶりであったアソガ谷を植林の中の沢沿いを降ってみた。林道までは続いた大雨等の被害はそう感じなかったが、その谷から続く林道の上部では倒木が方々で見られ、やや注意が必要だろうか。谷歩きが終わり、芹生峠からの貴船バス停までの府道車道は春とは違い、見るべきものはまったくなく、そうめん流しで賑わう貴船の観光客の多さにゲンナリで、また、貴船口からの満員の叡電乗車にも参ってしまった。フゥ

 本日最後に、見られた植物も殊の外珍しきものにも出会えず、期待していたほどいい山旅とはならなかった・・。汗

         
 若い実のマルミノヤマゴボウ    まだ蕾のウバユリ   ウバユリの葉だけは元気
         
雲取峠に咲くリョウブの花多し     テツカエデは久しぶりの出会い*    ムシカリの赤い実は目立ち

 * テツカエデはカエデの仲間では比較的個体数は多くはなく、山歩きの中でも見られるのは稀であろうか。名の謂れは若葉や花序に鉄さび色の毛があることの説や、材が黒いことに由来するという説があるとのこと。

   また、6月~7月ころに咲くという花そのものは未見だが、葉はぱっと見がウリハダカエデに似ている。でも、溝のない長い葉柄(8~17cm)、それに葉表のしわがよく目立ち、葉は葉身(10~15cm)と幅(10~20cm)では幅広の感じであり、これらを頭に入れてウリハダカエデと比較してみたい。

 結局本日の京都の最高気温は35.8℃であったようで、連続14日間の猛暑日記録らしい。朝方の花脊峠あたりの涼しさは気持ちよかったが、天狗杉では13時ころだったので30℃は充分越えていたのだろう。どうりで北山も暑かった。笑

ホームヘ 8/2滝谷山から天ヶ岳






inserted by FC2 system