’16.9.3
関西圏も明日から台風12号が近づき、5日間は雨模様との予報が出ている。ならば今日しか花巡りはないとのことで、しっかりと7~8時間にわたって徘徊させてもらった。ところがお目当てのジャコウソウは比叡山では咲き初めとなって一輪だけ見られたのだが、こちらでは蕾すらみあたらなかった。ちなみに昨年のジャコウソウはこちらからどうぞ。
しかし、嬉しいことにナベナ(京都府RDB:準絶滅危惧種)やヒナノウスツボ(京都府RDB:絶滅危惧種)に、こちらの山塊で数年ぶりに出会えて、咲いていないお目当てのショックを打ち消してくれた。
ナベナ(スイカズラ科) 咲き初め | ヒナノウスツボ(ゴマノハグサ科) 満開 |
それでは本日出会った花のうちで、本日の中では比較的個体数少なく目につきにくいもの等を取り上げてみたい。山野草の秋花はいよいよこれからのようだが、ほとんどが咲き初めであろう。アキチョウジ、ミツバフウロ、オニドコロなどの花が今年も出会えた。また、オカダイコン(京都府RDB:要注目種)も見られた。
アキチョウジ(シソ科) 咲き初め | ゲンノショウコ(フウロソウ科) 満開 | オニドコロ(ヤマノイモ科) 満開 | オカダイコン(キク科) 咲き初め |
もちろん、どなたにもよく知られる山野草の咲き初めもいろいろ咲いていた。オタカラコウ、オトコエシ、ヒヨドリバナ、モミジガサ、ミゾホオズキ、センニンソウ、マツカゼソウなどが見られた。また、フウセンカズラかなと思えるツルニンジンの蕾が草むらにぶら下がっていた。
それに花は地味で葉に隠れるように咲きもう終盤であったが、この種はすぐに実になればまたすぐに赤くなるハダカホオズキも見られた。ナス科のホオズキ属もいろいろあり、他にヤマホオズキ、イガホオズキ、アオホオズキもあちこちで見てはいるが、この山域ではハダカホオズキしか見られないのが寂しい。
ツルニンジン(キキョウ科) 蕾 | ハダカホオズキ(ナス科) 花から果実 |
なお、一見マムシグサの果実のように見えるが、よくみるとヤマゴボウの仲間のマルミノヤマゴボウもグロテスクな雰囲気で突っ立っていた。この種もヤマゴボウと見分けるにはちょっと知っておくことがあるのだが、山歩きの中でその同定方法は以外と知られていないようだ。それに、昨今の自然界ではヤマゴボウの個体数は減少しているようで、ほとんどがマルミノヤマゴボウではなかろうか。
マルミノヤマゴボウ(ヤマゴボウ科) |
さすがに樹木花はタラノキ以外は目につかなかったが、クサギ、リョウブの花はほぼ終焉となっていた。もちろん、果実はいろいろ見られた。イソノキは黒く、アクシバは赤くなって完熟状態のようだったが、それら以外はまだまだ緑色がほとんどで熟してくるまで時がかかりそうだ。
目についたのは次のような種であった。カマツカ、ウワミズザクラ、カナクギノキ、イヌツゲ、マルバアオダモ、クロモジ、ナツハゼ、ミツバウツギ、エゴノキ、タムシバなどで、果柄まで真っ赤になるヤブデマリやゴマギは、実がすでに野鳥にでも食べられたのか、サンゴショウのようにきれいに見える果柄だけが目にはいった。
イソノキ(クロウメモドキ科) 完熟 | アクシバ(ツツジ科) これから完熟 |
今後の秋花はまだまだ咲いてくれることだろうが、とりわけ、10月ころに期待したいのはキチジョウソウ、ジンジソウの花がなんとか咲いてほしいものだ。その訳は鹿の被害が頻繁なために絶滅の危機に瀕している種であろうから心配である。そうそう、今年もどうにか咲いてくれたオオバノトンボソウがまた盗掘にあって跡形もなくなっていた。
これまでから、シコクママコナやミヤマウズラが消えた原因の犯人は鹿だろうが、ツチアケビも含めて盗掘に遭えば、再度目を楽しませてくれるまで相当いや、完全に絶滅するかも知れないのだ。今回もひょっとしてツチアケビが復活していないかと立ち寄ってみたが皆無であった。ハイカーは山野草等の盗掘は絶対にしてはいけない、盗掘は山歩きの最たるマナー違反ということを心したいものである。
最後に下山した谷の流れの近くで、吸水中のモンキアゲハ♂に珍しく出会え、粘り強く近くによるもどうしても上手く撮らせてくれず残念であった。
モンキアゲハ(アゲハチョウ科) |