比叡山に咲く花 ’19.9.30 曇

 今日もやっぱり暑そうで、32℃の最高気温だったようです。それに朝からも、昔のような天候の秋晴れにもなってくれそうにもありません。山はじっとり道の濡れ気味で、やっぱりヤマビルにも出会う始末の花巡りとなってしまいました。しかしながら、小汗をかいたころには、山肌の小高いところへ、つる性のツルニンジンが大繁茂で、見える限りでは20個以上はかるく花がついているようでした。中にはもうだいぶ前から咲いていたようで、咲き終わって萎れているものも多数ありました。

 いずれにしましても、これだけの個体数のツルニンジンに出会えたことは初めてのような気がし、これまでからこの花にはいろいろ出合ってはいたのですが、ほとんどがせいぜい5~6個くらいとまばらでしたから、これだけ数えきれない数のツルニンジンに出会えた喜びは感慨深いものがありました。

 根が朝鮮人参に似ていることからの名のようです。山麓や平地の林内に生えるツル性の多年草で、これからはこの場所で、これだけ一杯の贅沢なツルニンジンの花が見られるのかと思うと感激です。この花の直径2.5~3.5cmの広鐘形と大きく、なおかつ下向きに咲くため、花の内部までしっかり見せてくれます。そしてその内部の紫褐色の斑点が独特の模様となる姿は絶妙の花姿ではないでしょうか。

 別名はジイソブとも言われます。他に関西圏ではほとんど見られないのですが、信州方面ではバアソブという花があり,、過去には見た記憶が残っています。ジイソブと同じツルニンジン属の仲間です。「そのソブとは長野県木曽地方の方言で、そばかすのことらしいのですが、その花の内部の斑点は老婆の顔のそばかすにたとえられたもののようです。ツルニンジンの別名ジイソブのジイは爺で、婆に対してつけられた。」と山溪の図鑑にあります。

 
ツルニンジン(キキョウ科ツルニンジン属) 別名ジイソブ 

 澄んだ流れの手前にはやや離れていましたが、アキジョウジが朝露にしっとりおめかしのごとく満開の花を見せてくれました。実は本日のお目当てはアキチョウジではなく、同じ仲間の『サンインヒキオコシ』が咲いていることだろうと、3年前の9/30と同じ日の本日にやって来てたのでした。でも、やっぱり過去とおなじで、そのサンインヒキオコシは毎年は咲いてくれないようで、出会うことはなりませんでした。来年の9/30に期待しましょう・・。

 そこで、その花に似るアキチョウジの花で諦めたのが、ピンチヒッターのこの花なのでした。笑い

 
アキチョウジ(シソ科ヤマハッカ属) 

 そして、比叡山の秋花といえばやっぱり、この時季この花、ミカエリソウです。ことしのミカエリソウはやや少なめなように感じました。もう見飽きていますが、それでも「やっ、あの子が可愛いのでは・・?」と、やっぱり歩きながら見返りますネ・・。ニコニコ

 
ミカエリソウ(シソ科テンニンソウ属) 

 そして、本日この子マルバノホロシにこちらの山域では初めての出会いでした。その種はヒヨドリジョウゴの仲間である『マルバノホロシ』でした。個体数の関係からヒヨドリジョウゴはよく知られるのですが、一方、マルバノホロシはややマイナーな種ではないでしょうか。全体に軟毛が密生する前者と違い、こちら、マルバノホロシは茎など無毛であります。

 今回、2~3mほどの高い所へヒノキの枝につるんでいました。そもそも花は1cmくらいの小さな花が風に揺れていたはずですから、おそらく前回は見逃したと思います。でも、花時の同定が一番容易でしょう。それはこの花が他の仲間たちと違い花冠基部である花喉部が淡緑色を帯びるのが大きな特徴であります。この花以外の仲間たちのその部分は斑紋状になって相違しているのです。この相違点が目につけばマルバノホロシと同定は完ぺきでしょう。

 しかし、↓画像のように花が終わった後の同定となれば、葉(切れ込みなく葉先尖るもやや鈍い等)、茎(無毛)や果実(につく果柄先が広がりはなく真っすぐに実につく等)の点を見極める必要が出てきます。このような情報は過去に大阪南部の岩湧山観察会に毎月1回3年間通いました。その時のU先生からの伝授の賜物であると、久しぶりに先生の顔を懐かしく思いだして大いなる感謝でした。

 なお、ナス科ナス属の花には他にもイヌホオズキやアメリカイヌホオズキ等がふつうに見られます。それらはヒヨドリジョウゴの仲間たちとは違い、イヌホオズキ、アメリカイヌホオズキはつるにはならなくて、ふつう道端に咲き、果実は黒熟します。一方で、ヒヨドリジョウゴの仲間たち(ヒヨドリ・・、マルバ・・やヤマホロシ、オオマルバノホロシ)は、ツル性でやや林縁へ分布し、秋深まれば果実が赤熟する点が大きな相違点でしょう。

     
マルバノホロシ(ナス科ナス属)まもなく実が赤熟する    葉裏は無毛、葉は狭卵形で鋸歯なく葉先尖るもやや鈍い 

 今回はサンインヒキオコシやジャコウソウが見られなかったのが残念でした。その他に目についた種を貼ります。

       
 オタカラコウ満開も終盤のよう  オハラメアザミはこれからでしょう  アケボノソウも終焉となり フシグロセンノウは完全に終える一輪 
       
 イケマは若き果実期長し  これまたアブラチャンも長く緑色で イヌガヤの実はようやく色づく   ナツメ(夏芽)に由来という

9/9フシグロセンノウ ホームヘ 10/15マルバノホロシ実






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