京都西山 ポンポン山の花巡り ’19.6.1 晴のち曇

 久しぶりのポンポン山でした。そろそろ山の花も移ろいが始まっていることだろうとの思惑でした。もっともやや早めでツボミ状態が多く、開花はこれからのようで、時季的にやや少なめは致し方ありませんでした。最初は鹿の食害でせっかく芽だししても開花には及ばない状態が続いていたツチアケビでしたが、今年は開花まで鹿の被害に会わないことを祈りたい種であります。

     
ツチアケビ(ラン科ツシアケビ属) (別名ヤマノカミノシャクジョウ) 山地の林内や笹薮で咲く葉緑素をもたない腐生植物 

 日のよく当たる笹薮で、20cmほどに成長していましたが、この後本来であれば0.5~1mほどと高くなるハズですが、でも、こちらでは50~60cmくらいにしかなった覚えがありません。そして多数の枝を出して花をいっぱい咲かせます。過去には7~8株も群生したことがありましたが、今回いまのところは二株のみで寂しすぎます。この後、秋頃のバナナ形の奇妙な実が多数できるころまで目が離せません。いずれにしても楽しみで~す♪


 さて、続きまして、この季節は「ウ~ノハナの匂う垣根の・・♪」の童謡「夏は来ぬ」の頃となりました。ヒメウツギから始まってウツギなどあたりが真っ白に染まるほど咲き誇ってきます。さて、ウツギ(アジサイ科ウツギ属)にはいろいろな話が多く、自然観察時には便利な樹種でもあります。笑

 昔からウツギの名は「空木」の意味で、茎が中空であることからの命名であるとされます。実際に枝をナイフでハスかいに切り落とせば中空がハッキリ分かります。それに真っ白なウツギの花は昔から卯月(旧暦4月)に咲くことから「卯(う)の花」とも呼ばれています。子供のころの童謡『夏は来ぬ』は、誰もが口ずさんで育ってきました。
 いずれにしてもウツギは初夏の風物詩とされてきたといえる花なんでしょう。 でも、ウツギは匂いがある種ではありません。童謡の匂う垣根とあるのは、日本語の妙であって、「咲く花があたりで美しく照り映えるように、今が真っ盛りである。」との意味合いの歌誌ではないでしょうか。

 続いてはウツギ(↓画像参照)本来の花や葉の話です。まず花は5弁で下向きに咲き、平開はしません。それに萼片に花柄など星状毛が密生します。ウツギの仲間で最初に咲くといわれる「ヒメウツギ」がありますが、この種との違いは「萼片や花柄など」に星状毛が密生しない点が大きな相違点です。さらに葉はウツギは両面が星状毛でざらつきますが、ヒメウツギの葉裏が無毛な点が違いますから分かりやすいでしょう。

 なお、ウツギ属に属する種の他にも、何々ウツギという名の木は数多く、花の美しいものや、葉や見かけがウツギに似たものなどがあります。新分類体系ではアジサイ科以外に スイカズラ科・ドクウツギ科・フジウツギ科(現在はゴマノハグサ科に変更)・ミツバウツギ科・バラ科に分類されています。(わたし的には足の踏み場ではなく、アスドフミバと覚えるようにしています。)笑

     
ウツギは萼片や花柄など星状毛が密生    花は平開しないで下向きに咲くのも特徴

 以上ウツギについて長々と話しましたが、実は本日は『バイカウツギ』を見つけましたので、この種について触れてみたいと思います。わたしはバイカウツギは遠い以前より伊吹山北尾根で初めて知った思い出の花でした。その後は至るところでの出会いがあったのですが、裏山のポンポン山でのバイカウツギには出会いがなかったのです。
 そんなわたしに本日の歩きで目の前に咲いてくれたのでした。実に愛おしかったですね~・・。その場に半時間近くも立ったりしゃがんだり、前横斜めから眺めたりと思いのたけ眺めまわしました。わたしはアジサイ科ウツギの仲間はノリウツギ・ヒメウツギ・ウラジロウツギ・マルバウツギ・ウメウツギやバイカウツギなどを全国各地でいろいろ目にしています。
 ところがウツギそのものは特別好きな気持ちには・・との思いですが、とりわけバイカウツギだけは別でした。仲間内でどうしてバイカウツギだけが気に入っているのだろうと考えますと、どうやらバイカウツギのみが花弁が4弁と異なっており、さらに花そのものが大きな花を平開して華やかに見せてくれるのが相違点であり、そのあたりがお気に入りとしている原因のようです。ひょっとして野草のシロバナハンショウヅルに花姿が似ているのも要因のひとつかもしれません。そのバイカウツギをご覧くださいませ。

夏空の元に咲くバイカウツギ、こちらの山で初見がうれしい~
 

 バイカウツギの花裏の様子や葉の表裏の状況です。

         
萼筒は倒円錐形、萼片は短毛密生    葉表にも短毛が散生    葉裏脈沿いに短毛あり白っぽく見える 


 次にツルマサキ(ニシキギ科)の開花状況も本日のお目当てだったのですが、こちらはその確認作業は初だったことから、作業日が早すぎました。(笑) でもこれで真の開花予想は立てやすくなりました。開花は多分10~15日先頃と読みましたが・・?、いずれにしてもマサキのつる性種です。

         
 ツルマサキの開花は未見   多数の気根で樹木をよじ登る     割れると橙赤色の果実は他所で見てるが

 他の種もいろいろ観察できました。まずは開花種からです。

         
ネジキ(ツツジ科)    シラキ(トウダイグサ科)    タンナサワフタギ(ハイノキ科) 
         
 ソヨゴ(モチノキ科)   クロソヨゴ(モチノキ科)    ガマズミ(レンプクソウ科) 
         
ノイバラ(バラ科バラ属)     小葉は3~4対    托葉クシの歯状に深く切込む

 ツボミもありました。でも、ナナカマドの花は見逃してしまい、もう若い果実となっていたようです。エビヅルにヤブニッケイは蕾でした。

         
ナナカマド(バラ科)     エビヅル(ブドウ科)    ヤブニッケイ(クスノキ科)

 若い果実をつけていますが、これから次第に色あいも変わりながら増えていくでしょう。

       
 チドリノキ(ムクロジ科)  ゴマギ(レンプクソウ科)  ヤブデマリ(レンプクソウ科)  ヤマコウバシ(クスノキ科)

 草本類の開花は端境期で少なくなりました。

         
ホナガタツナミソウ(シソ科)    オヘビイチゴ(バラ科)     上部葉は3小葉、下部5小葉
         
 ミヤコアオイ(ウマノスズクサ科)    ミゾホオズキ(ハエドクソウ科)   タニギキョウ(キキョウ科) 
         
 ナルコユリ(キジカクシ科)茎丸    マルミノヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)   ミズタビラコ(ムラサキ科) 
         
サワギク(キク科)        クララ(マメ科) 

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